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2018年11月13日 (火)

司書子さん☆今月の一冊二冊 2018年11月

司書子さんメンバーが思い思いのお薦めの本を紹介するコーナー。半年ぶりに再開しました! 輪番で執筆します。

 

『さざなみのよる』 木皿泉著 河出書房新社 2018年刊 1400円(税別)

 



 木皿泉さんが脚本を手掛けたNHKドラマ「富士ファミリー」(2016)をご存じの方いらっしゃるでしょうか? 2016年の新春ドラマとして放送されたものです。薬師丸ひろ子や小泉今日子、片桐はいりなどそうそうたる俳優さんたちが、富士山の麓にある“富士ファミリー”というさびれた田舎のスーパーを舞台に、家族の悲喜こもごもを演じるホームドラマでした。脚本が「すいか」を手掛けた木皿さん、スタッフは「あまちゃん」制作陣という安定の布陣ですから、面白くないわけがないです。録画しとけばよかったと後悔した覚えがあります。(確認したらDVDになっていました!)

  前置きが長くなりましたが、オススメする『さざなみのよる』はこのドラマのスピンオフのような物語です。ドラマには幽霊役として登場した次女ナスミが、病院で余命わずかというシーンから小説は始まります。やがてナスミが最後を迎え、その死を見守った姉鷹子、同級生、友人、元同僚などが一話一話の主人公となり、ナスミとの思い出を語ります。

 特に印象深かったのはナスミが中三の時に家出をしようとした相手で、今は理髪店を営む清二のエピソードでした。家出自体はナスミがすっぽかしたせいで成功しませんでした。清二はなぜあのときナスミが約束の時間に来なかったのか分からないまま、ナスミの死を知ったのです。すでに結婚もし、理髪店も継いで大人になった清二の中には、いまだにナスミが裏切った理由が謎のまま、わだかまりとなって残っていました。その謎が解き明かされる時が来る…というお話です。

 人生に“もしも”はないと言いますが、それでも“もしあの時…”と思ってしまうことがあります。でも、いくつもの選択をして歩いてきたこの道で良いんだよね、そう感じさせてくれるお話がこの本には詰まっています。そして読んだ後にはオハギが食べたくなります(笑)
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『花だより みをつくし料理帖特別巻』
 髙田郁著 ハルキ文庫・時代小説文庫 20189月刊

 髙田郁さんの大人気シリーズ「みをつくし料理帖」。全10巻が2014年に完結し、寂しく感じていましたが、今年、髙田郁作家生活10周年作品として特別巻『花だより』が刊行されました。主人公の澪が源斉先生と大坂に戻ってから4年後の、店主・種市とつる家の面々や小野寺数馬と妻の乙緒、幼なじみの野江、そして澪と源斉夫婦が描かれています。二人仲良く幸せに暮らしているかと思えば、疫病の流行りのため、源斉は心身とも疲弊し、澪も店終いに追い込まれます。が、二人はお互いを思いやり「月も無く、星も無い。暗い暗い闇の海」を乗り越えて、絆を深めていきます。自分の目指す先へ、逃げることなく奮闘する登場人物たちの真っ当なところに、いつも励まされます。彼らの晴れやかな未来が見えるような最後の場面でした。
F

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