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2017年3月18日 (土)

司書子さん☆今月の一冊二冊 2017年3月

『羊飼いの暮らし イギリス湖水地方の四季』
ジェイムズ・リーバンクス著 濱野大道訳
早川書房 2017年 1月刊行
 ビアトリクス・ポターの絵本の舞台で、世界中から多くの人々が訪れる有名な観光地でもあるイギリス湖水地方。この景観は数千年にわたる牧畜によって形作られました。
著者はこの地で600年以上続く羊飼いの家系に生まれ、自身も農場を経営しています。祖父や父と同じように十代半ばで学校をやめ家業を手伝い始めた彼ですが、1冊の本との出会いをきっかけに、ついにはオックスフォード大学で学ぶようになります。ユネスコのアドバイザーを副業とし、ツイッターのフォロワーが8万人という現代の羊飼いが書いたこの本は、湖水地方を初めて内側からの視線で描いた記録として貴重なものだと思います。
                                                   (MS)


『アウシュヴィッツの図書係』
アントニオ・G・イトゥルベ著 小原京子訳
集英社 2016年 7月刊
 第二次世界大戦のドイツにおいて、ナチスがユダヤ人虐殺のために複数の収容所を作っていたことは私たちもよく知るところです。ですが、その収容所の中に図書館があったことは知っていますか?特に有名な「アウシュヴィッツ・ビルケナウ絶滅収容所」。その中に、たった8冊の蔵書しかない図書館があったのです。図書係を任されたのは14歳の少女・ディタ。彼女の仕事は、毎日違う場所に本を隠すことでした。
 正直、暗くて重い本は苦手で、読み進めるうちに何度も挫折しそうになりました。アウシュヴィッツの悲惨な状況はやはり辛く、早く戦争が終わらないか、記された日付にハラハラします。けれど、この中には読む価値のある大切な言葉がたくさん書かれています。希望がない中で本を読むということ、明日が来なくても勉強すること。本の持つ力を再認識させてくれます。
 スマホさえあれば…という世の中にやる気を奪われつつある今だからこそ、私たちの仕事に勇気を与えてくれる一冊でした。
                                                   (RK)

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