« 2015年9月 | トップページ | 2015年11月 »

2015年10月

2015年10月26日 (月)

司書子さん☆今月の一冊二冊 2015年10月

司書子さん☆今月の一冊二冊 2015年10


『話虫干し 』 小路幸也著 筑摩書房 ちくま文庫 2015年

 名作の中に入り込んでストーリーを改変してしまう“話(はなし)虫(むし)”を退治する図書館員の話。
 夏目漱石の名作『こゝろ』のストーリーがおかしくなっていることに気づいた新米図書館員は、虫干し(虫退治)のために作中に登場人物として入り込む。そこには生き生きした「K」や「先生」に交じって、漱石自身やホウムズ君(シャーロック・ホームズ)、ヘルン先生(ラフカディオ・ハーン)など、本来の『こゝろ』には出てこない人物が登場し、ストーリーが脱線していく。どうやら“話虫”自身も作中人物に変身しているらしく、それらしい怪しい男を見つけるが、捕まらない。いったい“話虫”とは何者か、そのもくろみとは何か? さぐるうちに司書は、「K」や「先生」がまことに愛すべき人たちで、作品を本来のストーリーに戻すと彼らは自死する運命だということに気づいてつらさを覚え始める。作中人物には幸せに生きてもらいたい、しかしこのままでは名作『こゝろ』は改変されて『こゝろ』ではなくなってしまう。本と物語を愛する図書館員が考えついた解決法とは?!(ま)



『すかたん』 朝井まかて 著 講談社文庫 2014年刊

    第3回「大阪の本屋と問屋が選んだほんまに読んでほしい本」に選ばれた作品。
ひょんなことから大阪の青物問屋で女中奉公をすることになった江戸娘の知里(ちさと)。
大阪の文化に戸惑いながらも、旨いもんに目覚めていく。ただ遊び人の若旦那の様子が気になりだして‥
    若旦那が今の朝ドラの若旦那と重なります。でも、ただの遊び人ではなく、青物に関しては闇雲に突っ走ります。その姿に知里も私も惹かれていくのでした。『すかたん』っていい大阪弁だなって思います。(あ)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2015年10月15日 (木)

「第6回 京都の学校図書館・公共図書館の充実を求めるつどい」

「第6回 京都の学校図書館・公共図書館の充実を求めるつどい」下記の通り開催します。
Tsudoi6_1
◆記念講演 「21世紀の学び:米国学校図書館基準から」
  講師 柳 勝文氏(龍谷大学 准教授)
 【講演内容】
 かつて「読み書きそろばん」が汎用能力として教えられたが、これからの社会で必要な知識・スキルとは何か。
 そのことを考える材料として、米国学校図書館基準を紹介したい。その視座は、公共図書館にも必要なのでは?
 
◆日 時 2015年12月12日(土) 10:00~16:00 (9:30~受付)
◆場 所 京都アスニー  第2研修室(104)
 京都市中京区聚楽廻松下町9の2(丸太町七本松)
      http://web.kyoto-inet.or.jp/org/asny1/asnymap.html
◆参加費(資料代)  ¥300
 
◆内容詳細
【午前の部】 10:00~12:00
◎記念講演
◎報  告:「小・中学校図書館への人の配置に関するアンケート」の調査について
 〈京都府立高等学校教職員組合 司書委員会〉
【午後の部】 13:00~16:00
◎実践報告
  *高等学校図書館から実践報告「授業との連携とその実態」
 *小・中学校からも図書館の利用のようすや現状などの報告を予定しています。
 *公共図書館からは、図書館の現状や学校図書館との関係などの報告を予定しています。
主催:『京都の学校図書館・公共図書館の充実を求めるつどい』実行委員会
HP  http://kyolibtsudoi.blog.fc2.com/

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2015年10月 4日 (日)

司書子さん☆今月の一冊二冊 2015年9月

司書子さん☆今月の一冊二冊 2015年9

司書子さんメンバーが思い思いのお薦めの本を紹介します。輪番で執筆します。

『お待ちしてます下町和菓子栗丸堂』 似鳥航一著 (メディアワークス文庫)
   (食欲の秋に引っかけて)
 香月日輪の作品以来、久々に続きが読みたくなった文庫のシリーズです。「和菓子+本」といえば『和菓子のアン』が頭に浮かんできますが、『和菓子のアン』では謎解きの方に興味が引かれるのに比べ、『下町和菓子栗丸堂』は、「和菓子が主役?」というぐらいの勢いで蘊蓄が語られています。それを語るのは葵さんという謎の部分の多い清楚な美人。その彼女が主人公=浅草にある和菓子屋の若い主人とともに、和菓子に関係した留まるところを知らない知識を披露しつつ、遭遇した問題を解決していきます。浅草という人情の豊かな下町を舞台に、和菓子のやさしい奥行きのある甘みが人のもつれたこころを解きほぐす様子にほっこりしていきます。豆大福・どら焼き・和三盆の干菓子、どれも特別珍しいものではありませんが、改めて本当においしい和菓子が食べたくなりました。突然両親が事故で亡くなり、腕はいいけれど跡を継いだ店の経営が苦しい状況が変わっていくのか、葵さんの謎がどこまで明らかにされるのか、二人の間はどこまで進むのか…次回作が楽しみです。(ゆ)



『チャーチル閣下の秘書』
 スーザン・イーリア・マクニール著
 東京創元社 (創元推理文庫) 2013年刊

 私は欧米のミステリやSFなどのエンタメ小説が割と好きなのですが、「推理小説が読みたい」と言って図書館に本を探しに来た生徒でも、なかなか海外のものは読んでくれないのが残念なところです。というわけで、あまり仕事に資することがない「お薦め本」ですが・・・。
 この本は題名からもわかる通り、第2次世界大戦下のイギリスを舞台にした時代ミステリです。主人公マギーは、アメリカ育ちのイギリス人。幼いころに両親を亡くし、アメリカの大学で教員をしている叔母に育てられ、MITの大学院への進学が決まっていた数学の秀才。けれど家族の事情で一時的にロンドンへ戻らなければならなくなり、いろいろあって首相官邸のタイピストとして雇われることになります。マギーは自分の数学の才が「女性だから」という理由で生かされないことにいらだっていますが・・・
 詳しく紹介するとネタバレになりそうなので、あらすじは割愛しますが、自立志向の強い女性の物語はもともと好みですし、フィクションとはいえ、知らなかった歴史の一端を知ることもできその点も興味深く読めました。マギーの個性的なハウスメイトたちも物語の重要な役を果たしますが、映画化に向いているなと思ったりします。このシリーズは現時点(2015年9月)で3巻まで邦訳出版されています。10月下旬に新刊が発売予定で、とても楽しみです。(ち)
 





漂流郵便局: 届け先のわからない手紙、預かります

久保田沙耶著 小学館 2015年刊

 瀬戸内の小島の元郵便局を活用して、設置された「漂流郵便局」。宛所のわからない、でも誰かに届けたいメッセージが書かれた手紙(はがき)をブリキ製の『私書箱」に入れて、現代アートとして展示している。マスメディアにもたくさん取り上げられたこの漂流郵便局を作ったのがこの本の著者。漂流郵便局のなりたちと、届いたはがきの一部の文面が載っている。ハガキの中身は亡き人への哀惜や、過ぎし日の思い出などばかりかと思ったら、生きているわが子への憤懣や、「ボイジャー1号へ」なんていうのとか、宇宙人宛、くじら宛などもあって、いろんな人のいろんな思いが寄せられている。展示の様子や展示物のビジュアルも魅力的だし、「局員」の制服もいい。島の写真もすてき。温かい気持ちになれる1冊(ち)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2015年9月 | トップページ | 2015年11月 »