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2014年8月22日 (金)

司書子さん☆今月の一冊二冊 2014年8月

司書子さん☆今月の一冊二冊 2014年8月

司書子さんメンバーが思い思いのお薦めの本を紹介します。

輪番で執筆しています。
書影をクリックすると書店サイトにつながり、書誌事項等が確認できます。

『伝説のエンドーくん』 まはら三桃 著 小学館 2014年4月 本体1400円
市立緑山中学校には伝説のヒーローがいる。その名はエンドーくん。成績優秀、スポーツ万能、性格はやさしく強く、正義感あふれ、容姿端麗……! そんなやついるか?ってくらいのヒーロー。
緑山中は比較的落ち着いた学校だけど、エンドーくんに関する落書きだけは校内にいっぱい。「エンドーくんの愛はふめつ」「エンドーくんは金よりつよし」「エンドーくんは、魔王にかつ」印刷機やカレンダーのうしろ、美術室の壁etc. 落書きは消せばいいのに、何故だか誰も消そうとしない。
この物語の主人公は生徒じゃなくて、そんな緑山中二年生の担任の先生たち。おっちょこちょいの体育の新採熱血先生、ちょっとくたびれたバツイチ学年主任、40代独身イヤミなポッチャリ国語の先生、帰国子女派手好き英語の先生、生徒に馬鹿にされてるネクラな美術の先生、定年前のさえない理科の先生。6人の個性豊かな先生たちが、14歳という多感な生徒たちと真剣に向き合う。エンドーくんの落書きは、そんな彼らに、前に踏み出す勇気と希望を与えくれる。
そして、創立百周年の記念式典でついにエンドーくんの正体が明かされる。
児童文学だけど、大人も十分楽しめる。昭和40年代の学園紛争の時代を知っている方がより楽しめるかもしれない。愛すべき先生たちが奮闘する姿に、作者の愛が感じられる、
心に響く学園物語。(C)




『雨ニモマケズ Rain Won't』宮澤賢治 著  アーサー・ビナード 英訳 今人舎 2013年
 ¥1500+税
雨ニモマケズ/風ニモマケズ/雪ニモ/夏ノ暑サニモマケヌ…
良く知られた宮澤賢治の詩を、アーサー・ビナードが英訳し、 山村浩二が絵を描いた絵本です。
ビナード氏については、『日本の名詩、英語でおどる』という本で、日本の現代詩を英語に置き換える、という難しい取り組みに挑戦する姿勢と、選ばれている詩のセンスの良さに驚かされ、関心を持っています。私の英語力は中高生時代のまま止まっていますが、そんな私が読んでも、ああ、ここはこんな解釈なんだ、とあらためて原文と比較して驚かされるところがあり、興味深い一冊です。一語一語に気を配り、丁寧に翻訳されている印象があります。
山村浩二の挿画も、緻密さと大胆さが共存し、日本の原風景を表していて、懐かしさを感じます。
宮澤賢治の「雨ニモマケズ」について、アーサー・ビナードはエッセイ『亜米利加ニモ負ケズ』で“ニューヨーク中央郵便局のスローガンに似ているのでは!”という気づきから、その「本歌」がヘロドトスにまで遡る、と考察しています。
エッセイも、気さくで飾らない親しみやすい文章です。そちらもぜひどうぞ。(M)

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