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2014年7月25日 (金)

司書子さん☆今月の一冊二冊 7月分

司書子さん☆今月の一冊二冊 7月分

司書子さんメンバーが思い思いのお薦めの本を紹介します。輪番で執筆します。書影をクリックすると書店サイトにつながり、書誌事項等が確認できます。

『銀二貫』 高田都 幻冬舎時代文庫 平成22年 本体価格600円
 寒天問屋の主・和助は、あだ討ちで父を亡くした子どもの命を銀二貫で救う。その金は火事で焼けた天満宮の再建のために苦労して貯めた金だった。子は、松吉という名を与えられ、丁稚として働くことになる。丁稚としてのつらい修業、料理人の娘・真帆との出会いと悲劇、新たな寒天作りへの試練など、松吉と店に次々に困難がふりかかる。特に火事。この時代本当に大火事が多く、松吉たちの運命を大きく変えることになる。
 天満宮への寄進はいつできるのか?松吉と真帆の恋の行方は?そして、愚直なまでに仕事に取り組む松吉の姿勢にじれったくなったり、やきもきしたりします。
 ドラマ化されていますが、原作とはかなり違うので、ドラマだけ見た人はぜひ、原作を読んでください。特にこの『銀二貫』というタイトルは、最後まで読むと、「ああ、そういう意味もあったのか」と驚き、涙します。
 ちなみにこの本は、「大阪の本屋と問屋が選んだほんまに読んでほしい本」として選ばれました。大阪のあちこちの本屋で大々的に宣伝されていました。(E)




『アライバル』 ショーン・タン著
河手書房新社
その人の故郷は、何か大きな不穏の影に覆われようとしている。愛する家族を残し、生き延びる術を探して見知らぬ土地へ旅立つ人。言葉も通じず、すべてが恐ろしく不可思議だが、差し伸べられる手もある。次第に心が通うようになって…。
緻密な絵とコマ割りで表現される世界は、“グラフィック・ノヴェル”(イラストで語られる小説)と称される。幻想的かつリアル、どことなくおかしみもあり、まるでサイレント映画のよう。「文字のない絵本」とも「コミック」の一種とも言えるけれど、そうした既存の範疇に収まりきらない力と美しさを持つオリジナルな表現が素晴らしい。
テキストがないからこそ最大限に想像力を働かせて、そこに描かれた登場人物の驚き、とまどい、恐怖、そして喜びを我がことのように感じる不思議な「読書」体験が出来るのだ。
「その人」とともに濃密な物語時間を生きた後、最後におとずれる光景のあたたかさが胸に残る。(T)

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