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2014年6月30日 (月)

司書子さん☆今月の一冊二冊

司書子さん☆今月の一冊二冊 6月分

学校図書館法の一部「改正」関係で、考えねばならないことが多くブログの更新も遅れ気味です。でも気を取り直して・・・

司書子さんメンバーが思い思いのお薦めの本を紹介します。輪番で執筆します。

『お家さん 上・下』 玉岡かおる 新潮文庫

2013年の本屋大賞を受賞した『海賊とよばれた男』に、新興の商社として「鈴木商店」がちょっとだけ出てきます。『お家さん』はその鈴木商店、大正から昭和の初めに、神戸の小さな砂糖輸入商から始まり、樟脳や繊維などの日用品、後に国の命である米や鉄鋼までを扱う巨大商社へ急成長した鈴木商店を描いています。世界を舞台に活躍し、鈴木を創った男たちと鈴木を支える舞台骨「お家さん」(鈴木よね)を描いて、日本の経済や商業が近代化を遂げていく時代を活写しています。『海賊とよばれた男』の国岡(出光左三)もそうですが、この時代に共通する商人(経済人)の気概には、企業や商社の社会的責任とか、商いの哲学とか、心打たれるものがあります。(S)

『はみだす力』 スプツニ子! 宝島社 2013年刊

生きにくさを抱えている人に贈る、自由に生きるヒント満載の本。「発想を変えれば、世界が変わる!」

両親共に数学者で、数学オタクに育ったスプツニ子!。中高時代にはインターナショナルスクール対抗の数学大会でチャンピオンになる。アメリカンスクールを1年飛び級して単身渡英、ロンドン大学インペリアル・カレッジに進学。20歳で同大学数学科および情報工学科を卒業。フリーのプログラマーとしてロンドンで働きながら、音楽活動を開始。その後英国王立芸術学院修士課程を修了、現在はマサチューセッツ工科大学のメディアラボの助教に就任、現代アートの世界で日々進化を遂げている。スーパーレディと思うでしょ?でも、スプツニ子には暗い学童期があった。その経験から生まれたのが「はみだす力」、自由への発想です!(S)





「私を知らないで」 白河三兎著 集英社文庫 2012年

 
 表紙の女の子は「キヨコ」と呼ばれ、クラスで無視されている謎の美少女。転校生である主人公の「僕」は新しいクラスで無難に生き抜こうとクールに振る舞うが、「キヨコ」のことが気になる。秘密をかかえ、「私を知らないで」と周りを拒絶しながらも、困難な状況で賢明に「幸せ」に生きたいと願う「キヨコ」。そんな彼女を何とか助けてあげたいと願う「僕」、そして熱血漢のもう一人の転校生「高野」。そんな「僕」も「高野」も実は心に傷をかかえている…。
中学生のピュアな思いに胸きゅんの1冊です。
 主人公の「僕」は中2の夏の終わりに横浜のはずれにある学校に転校してきます。父親の仕事の都合で転校には慣れっこの「僕」は新しい学校で、敏感に勢力関係を見抜き、無難に生き抜く智恵を働かせていきます。抜け目なくあくまでも冷めた印象の主人公。
「僕」はクラスで無視されている謎の美少女「キヨコ」の存在が気になります。もう1人の転校生「高野」とともに、「キヨコ」を尾行することになった「僕」は、尾行がばれたことをきっかけに、彼女とだんだん親しくなっていきます。祖母とぼろ屋で2人暮らしをしているという「キヨコ」。しかし、訪ねていくと、おばあちゃんはいつも姿をみせず、年金詐欺の話題が折しも世間を賑わせていたことから、「キヨコ」がおばあちゃんを殺して、年金をだまし取っているのではないかと疑います。読み進むうちに真実は明らかになっていくのですが、キヨコの幸せを願う「僕」と「高野」の熱い思いに胸がきゅんとなる青春小説です。
冷めた印象の「僕」にも、熱血漢の「高野」にもそれぞれ秘密や傷があり、脇役であるクラスの女ボス「ミータン」やその手下で「僕」の彼女となる「アヤ」など、1人1人が見た目通りでなく、意外な姿を見せ、著者の人物描写のうまさにうならされます。金原瑞人も解説で絶賛しておられました。(E)


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