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2013年10月10日 (木)

司書子さん☆今月の一冊二冊

司書子さん☆今月の一冊二冊

司書子さんメンバーが思い思いのお薦めの本を紹介します。輪番で執筆して行く予定です。

『みをつくし献立帖』
 髙田郁著  (角川春樹事務所)ハルキ文庫
 人気時代劇「みをつくし料理帖」シリーズの料理のレシピが載っている本です。全て作者自らが再現したもので、どれもこれもやさしい味が伝わってくる写真です。 その間に挟まっている「みをつくし内緒噺」にはシリーズ誕生の秘話や登場人物の名前のつけ方など楽しい話がいっぱいです。澪と野江の幼い頃を描いた短篇も入っていて、本シリーズを読んでいない人もすぐに読みたくなるかすぐに料理を作りたくなるかという一冊です。 (Y)

『ある奴隷少女に起こった出来事』
  ハリエット・アン・ジェイコブズ著   大和書房  2013年4月刊 
 19世紀前半のアメリカ、ノースカロライナ州で少女ハリエット(著者、本のな かでの仮名・筆名はリンダ。以下リンダ)は愛情深い両親と自由黒人である祖母に 庇護され、「奴隷」という境遇に気づくことなく幸せに育っていました。6歳で 母と死別するも母の乳姉妹である女主人「お嬢さん」の優しい養育を受け、読み 書き教育も授けられます。しかし、やがて「お嬢さん」が亡くなりその所有する 奴隷たち(リンダやその家族・親族ら)は、遺言により相続されます。リンダは 「お嬢さん」の幼い姪の持ち物になります。その家の主人、ドクター・フリント は美しい少女となったリンダをわがものにしようと始終付け狙い、そのことに嫉妬する奥様はリンダに辛く当たります。そして・・・。街中の屋敷内で働くリンダたちには、アンクル・トムのようなプランテーションでの強制労働はありませんが、人間としての尊厳や自由、生命さえも脅かされ続けることは同じです。
 この本は約150年前、南北戦争の始まった1861年に自費出版で発行されました。著者がその半生を綴ったノンフィクションですが、当事者がまだ存命であることを憚ってすべて仮名で描かれていたこと、奴隷主による奴隷女性へのレイプが横行していたとするショッキングな内容(当時の人は受け入れがたかったのかもしれない)、黒人奴隷が書いたとは思えない(奴隷制に反対する人たちの中 でさえ偏見がある)洗練された文章であることから、白人による創作と思われ、 いつしか忘れ去られていったそうです。しかし近年著者に関する研究が進んだこ とにより、この手記が再発見され、アメリカで再出版されて話題になったということです。深刻な内容ですが若い人が読みやすいようにやさしい語り口で書かれた本です。奴隷制度がいかに奴隷主やその家族の人間性をも傷つけるものであるかも鋭く指摘されています。古びないテーマと魅力を持つ本です。(C)

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コメント

『みをつくし献立帖』私もお薦めです。澪の成長をめぐる江戸・大坂を舞台にした人情話で、何度も涙を潤ませながら読みました。最後、幼馴染みの野江ちゃんと大坂に帰って料理屋を営む澪のその後をぜひ読んでみたいですね。高田郁さんの小説はどれも人間のやさしさ、温かさにあふれた作品です。つい最近も『銀二貫』『出世花』などを読み終えました。小説で取り上げる題材はすべて自分でやってみる作者の姿勢も面白いです。

投稿: 府高のさこやん | 2015年6月16日 (火) 17時22分

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